盗作事件については、
天漢日乗さんが詳しい。
三重県立美術館のお詫び(2005年4月~6月に「和田義彦展」を開催していた)にこうある。
展覧会開催に当たって、当館では和田氏の画業ならびに出品作品について、同氏との面談や美術雑誌、展覧会図録、その他関係の文献資料等を通じて調査を行いましたが、問題を把握することはできませんでした。
芸術選奨の選考過程でもそうだが、表面的な資料では分からなかったのだ。所属する国画会(権威があるらしい)などの周辺で以前から噂になっていたらしいが、表沙汰になるのは2006年を待たねばならなかった。おそらく「芸術選奨文部科学大臣賞」という事態が限界を越えたとして密告に至ったのだろう。これが日本的なのかどうかは分からないが、数十年にわたる盗作が(少なくとも、表では)ばれなかったのは、例のしょうもない事件と非常にパラレル感のある事件だ。和田氏をめぐる様々な疑惑(疑惑の処理にも疑惑がある)、華麗なる人脈、経緯はその意味で興味深い。
ポイントは、ピアレビューが機能していたかどうかではないだろうか(どうやら機能していなかったようだ)。評判が評判を呼び、持ち上げられていった構図がうかがえる。確かにイタリア国内で99%が流通しているともいうスーギ氏の作品に日本の画家や評論家がうといのは致し方ないのかなという気もするが、噂があったという事は、偶然の機会にでも気づいた人がいた事になる。