『日本考古学20』の134頁に「論文要旨を明快に」というコラムがある。結論を先に、明快な論旨で書くべし、というような話で、要は英語の文章論(ライティング)みたいなことだ。文章論としての要旨(Summary、あるいはAbstract)のポイントはそんなところだとして、ここで考えたいのは、キーワード。
「キーワード」は、Web検索(事実上Googleとイコール)にどうひっかかるかの問題になる。その意味ではSEO(Search Engine Optimization)に近いとも言える。つまり、似たような話の中で、上位にランクされるよう、文言を組み合わせるということだ。今は「キーワード」をわざわざ出しているが(それ自体はともかく)、サマリを全文検索をさせる方が、何かと効果的だ。つまり、そういうものとして、論文の内容に(一般的に)関連性の強い文言を散りばめて、ヒットしやすいサマリが良いのではないかということだ。
#これは、サマリの機械可読性という理解でもいいかもしれない。文章論は人間可読性というか、他人可読性の問題ですな。もちろん、機械可読性と人間可読性を兼ね備えて調和させるのが理想的。
#昔の学術系論文は(今でも理科系ではそうか)、タイトルがそのまま要旨みたいに、キーワードの連続だった。だから、タイトルが長い。タイトルを読めば、大体の内容を(読む前に)かなり的確に予測できた。もちろん、内容が推測しやすいように、そうしていた(同意反復)。今はまあ、ある程度の弁別性があれば、タイトルは程々の長さが使いやすいとは思う。内容のインデックスとしては、サマリの方が効果的。