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丁酉平成如月
2005年 03月 27日
ブロードバンド(広帯域通信)とブロードキャスト(放送)。これらは似ているが、非なる言葉だ。ブロードバンドでブロードキャストが出来るかどいうと、これが(出来ないわけではないが)なかなか難しいところがある。大規模化が難しいのだ。
現在、音声や動画がIP(インターネット)で送られる時、ストリーミングはユニキャストで行われている。これだと、基本的にはサーバの接続回線幅をユーザの数で割ることになり、途中の経路でも制約を受けるから、個々のユーザの享有できる帯域幅を広く確保するのは、なかなか難しい。ブロードバンドを前提にしても、一般的な動画は300Kbpsに設定してあることが多い(500kbpsや1Mbpsもあるけれど、一般化は難しい)。300Kbpsだと、QVGAくらいが関の山だ。 DVDのビットレートは5~9Mbpsというところだろう。コーデックがMPEG2の場合、例えば8Mbpsあれば(通常解像度)TVとして十分な画質だろう。最新のコーデックMPEG4 AVC(H.264)なら、2Mbpsでも十分かと思われる(ライブ放送と蓄積放送では倍くらいの差が出るが)。つまり、現在の妥当な帯域幅300Kbpsが、2Mbpsに出来るなら、「通信」は「放送」に画質で匹敵できるわけだ。しかし、問題はユーザ数だ。 #高画質ストリーミングサービスは、プロバイダが行う場合が殆どだ。それだと経路をコントロールしやすく、帯域を安定的に確保しやすい。 テレビ番組の視聴率1%はざっと100万人に相当する。では、100万ユーザに一斉ストリーミングを2Mbpsで送れるようになるかというと、これは至難の業だ。300Kbpsで100万ユーザも至難の業だ。そこで必要になる技術が、マルチキャストなのだ。これは昔から言われているが、なかなか上手くいかない。あるいはIPv6なら広がるのかもしれない。 NEC、IPマルチキャスト通信を用いたインターネット放送システムを開発 #ちなみに有線・無線を問わず、ブロードキャストする方法は色々ある。 ユーザ数がそんなに大規模でなくてよければ、まあ現状でも300Kbpsの動画をインターネットに乗せられるし、インターネットラジオも32~128Kbpsで沢山聴ける。iPodを前提にしたポッドキャスティング(Podcasting)とは、自動蓄積型のラジオ(のようなもの)だ。あるいは、ポッドキャスティングの手法が動画に使えるかもしれない(Vodcasting)。これらは、HDDレコーダーでテレビをタイムシフトして自由な時間に視聴するのと似ている。リアルタイム性を多少ゆずれば、インターネットの仕組みに適応した形で、こんな手法もあるわけだ。
by renes
| 2005-03-27 08:00
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