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丁酉平成如月
2012年 05月 17日
#2012年5月27日考古学協会セッション2での発表予稿。この稿ではMLAへの言及が目論みより少なくなってしまったが、当日の発表では補助線としてのMLAにウェートをおく。
■発表の趣旨 コンピュータの普及によって社会が変容する{1}。しかし具体的な変容は様々である。IT(情報技術)と考古学の関係も、こうした構図で比較分析する事が可能であろう。そこでまず、考古プロパーのIT史を振り返り、さらに「補助線」{2}としてMLAを引いてみることにする。昨今、MLA連携、即ち博物館、図書館、文書館といった分野の連携が言われているが、考古学の立ち位置は、これらと非常に関係が深いはずである。 IT化の意義は、現象的にはツールかもしれないが、マクロに見ればコンカレント・エンジニアリング(CE){3}に相当するものであり、フラット化やオープン化を通じて、仕事のやり方を根本的に変えていくものと考える。学界大、業界大のナレッジマネージメントと言ってもよい。「From survey to archive」{4}である。筆者は従来、分散型のCEを考えていたが、現実のMLA連携が実務的な摺り合わせの過程であるように、考古学とMLAの連携も具体的な摺り合わせを進める事が重要かもしれない。 ■考古プロパーのIT史 歴史を振り返るには、分類が分かりやすい。 1期 PC以前(60年代末葉~) 2期 DOS期(80年代初頭~) 3期 インターネット期(90年代後半~) 4期 2.0期(2000年代中葉~) 詳しい説明は省くが、2期は16bit OSが登場し、PCが実用化した時期である。3期はGUIのOSが普及し、インターネットが「World Wide Web」と共に一般化された時期である。4期はおそらくWeb API (Application Program Interface)の登場によって画期づけられ、ネットを通じたコラボレーションが本格化した時期である。 ここで大事なことは、ハードウェア技術とソフトウェア技術、及びコストダウンが進展するにつれ、実現できることも変化してきたという事である。利用可能な技術が登場したら、それを実用的コストの中で利用するのが合理的である。 黎明期である1期からコンピュータの考古学への応用は始まっており、基本理念はそう変わっていない。コンピュータを「ツール」と捉える立場とも言える。大きな流れとしては、帝塚山大学をベースとした「考古学におけるパーソナルコンピュータ利用の現状」研究会(1988~)と、統計数理研究所をベースとした「考古学における計量分析」研究会(1991~)が挙げられる。両者は連携した活動であったが、1995年に統合して情報考古学会の形成へと動いた。パーソナルコンピュータを標榜していたように、2期的な活動だったが、学会発足時は3期に突入しようとしていた。 同学会がカバーする分野が例示されているが{5}、大体の傾向を示すため、あえて5項目に大別してみた。 1)遺物ないし遺構の計測・測定 2)地理情報ないし空間情報技術 3)モデリング/シミュレーション 4)ネット活用 5)データベース/デジタルアーカイブ ■大量の情報 情報考古学会の趣意書(平成7年3月26日付)にこうある。 「年間発掘調査数は1万余件(中略)報告書の刊行物も膨大な数にのぼり(中略)情報の洪水の中で、多くの研究者が喘ぎだした(中略)そこで、情報処理の問題がクローズアップされ...」{6} そもそも情報考古学より、やや由緒のある表現としてコンピュータ考古学{7}があるのだが、1期に登場した先駆者の一人である小澤はこう述べている{8}。 「コンピュータ考古学が必要となる根元的な理由は、情報量の「爆発」にある。(中略)考古学はまさに情報量の爆発に直面している(中略)コンピュータ考古学には、上述のように、情報の収集・蓄積・処理という側面がある。」 上野も殆ど同じ事を述べている{9}。 「60年代に入ってから、日本経済の高度成長に伴う資料の爆発的増加によって(中略)何らかの量的処理の方法が必要であると考えられていた。」 情報量の増大が、コンピュータ考古学ないし情報考古学のスタートにつながったようだ。具体的には分析ツール性が主な関心の対象になった。「それで何が出来るのか」「それで何が分かるのか」である。 さて、大量の情報の発生現場はどうだったろうか。現場レベルでは、トータルステーションの導入がOA化の契機となった。この場合のOAは「Office Automation」{10}だが、筆者の実感としてはまさにEA(Excavation Automation)だった{11}。EAは実務的であるから、DTP(DeskTop Publishing)につながり、電子化志向の究極を考えることにもつながった。コンピュータのツール性を求めて、ITのメディア性に着目する結果となったのである。 ■考古学におけるITの利用 この分野には概ね3つの側面があると考える。 1)分析のツール 2)遺跡調査のデータ取得や整理のツール 3)情報のロジスティクス{12} 学界の関心は分析に傾きがちで、「研究データベース」の必要性は認識されたが、限定的だった。報告書の大量性は懸案だったが、報告書の希少性は考慮されず、文献目録の段階で立往生していたように思える。 調査や整理のツールとしての活用は、実用性重視で比較的進んでいる。だがあくまで報告書作成が目的であり、報告書は紙媒体と規定されている{13}。 ■デジタル・ワークフロー かつてデジタル化のメリットを6項目あげた{14}。1)情報の軽量化、2)検索性、3)アクセス性(入手性)の向上、4)長期的トータルコストの低減、5)大容量性、6)情報の緻密性、である。そして「デジタル化されることの本質は、データの一回性からの解放」であり、「データが発生現場でとどまることなく、グローバルに(時代も越えて)再利用されるためには、データの互換性、検索性、アクセス等の諸問題に真剣に取り組む必要が」あると。 最初のCD添付の報告書の中でこう付記した{15}。 「情報の電子化とは第一に、情報の蓄積と流通の技術革新である。その観点からこそ、まず埋蔵文化財関連文献の電子化が進められるべきと考える。単独の電子化の場合、研究者や調査機関のコンピュータ環境やネットワーク利用が進んでいない段階で、どれだけ実効性があるか疑問とされるかもしれない。だがパッケージとして提供することにより、(中略)後々環境が進歩した段階での利用に供することができる。」 機関リポジトリに即して言えば、DTP→PDF→リポジトリという「ボーンデジタル」なワークフローこそ求められているはずだが、まだ一般化してない。 考古プロパーがITを考えてこなかったわけでは決してないが、縦割行政の限界を超えるためにも、MLAの経験値に学びつつ、MLA連携に加わっていくことが必要なのではないか。 {注}省略
by renes
| 2012-05-17 02:00
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