公共博物館の活動や事業の企画を個々に考えていく場合に、考慮に入れるべき主な要素は3つあると思う。
1)役所の一部門が行う活動として、役所内の事業評価として、どう理解してもらい、高く評価してもらうか。
2)企画として興味深く、博物館の長期プランやアイデンティティに照らして整合性があり、学芸員の知的好奇心と総合力を試す機会となるか。
3)ユーザー、即ち企画展の見学者やイベントへの参加者に、何を、どう満足してもらうか。および、参加しなかった市民に対しても、意義を認めてもらえるか(いつか、行ってみたいと思わせるか)。
役所、学芸員、市民という三者の満足を目指すという考え方になる。市民に対しては分かりやすさ、役所的にも(よく知らないけど、企画書を読む限りでは)面白そう、と思わせる必要がある。多分、学芸員的視点を含め、これらの三者の視点は、ずれる。三者三様である。そこでは、調整するというより、やや多面性を目指す事になるだろう。同床異夢かもしれない。
実際には、企画のテーマ自体が持つ(テーマ自らが語る)パワーが原動力になるのかもしれないが、そのパワーがよく捉えきれない時もあろう。論文等にまとめる事は出来ても、それは研究者視点に過ぎない。パワーが発散してしまう事もあろう。企画としては、軸が必要で、軸からストーリーが組み立てられ、具体的な展示計画に落とし込む事が出来る。その時に、上記の3要素を考慮しつつ、という事になるだろう。